駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第1試合・フェザー級8回戦/●吉村憲二[大阪帝拳](4R1分48秒TKO)アレックス・エスカネル[比国]○

元インターハイ王者のアマタイトルを持つ吉村は、6回戦デビュー以来5勝(2KO)無敗の戦績。ただし、ここ2戦は噛ませタイ人相手に消極的なファイトで、熱心な後援者以外は誰も喜ばない試合内容に甘んじている。対するエスカネルは21勝(9KO)11敗5分とアナウンスされた現Sバンタム級国内王者で、OPBF2位。これが3度目の来日だが、昨秋には長井祐太[角海老宝石勝又]と“不運の”ドローに健闘しており、東南アジア人とはいえ一筋縄では行かない相手である。
吉村は、ワン・ツーやカウンター気味のストレートから右ボディ→アッパーのコンビネーションで各ラウンド手数、ヒット数で優勢も、相手の堅守とやや単調さの否めぬ攻撃でKOの気配は感じられず。それでも大差判定勝ち濃厚かと思われた4R、老練な比国王者の重い右ストレートを浴びせられると完全に効かされ後退。そこへラッシュを浴びせられて痛烈なダウンを喫する。ここは立ち上がって抵抗の意思を示すも、エスカネルの更なる猛攻に力尽きて2度目のダウン。タオルが投入されてTKO裁定となった。
アマエリートからプロ入り後も温室で育てられ、以前から“作られたホープ”感の強かった吉村だが、遂にこういう時が来たか、という感じ。心身ともにプロボクサーとしてはひ弱さを感じさせる現状で、今後はもっとハードな修羅場を潜り、勝ち負けを競う事で脆さを払拭させてもらいたい。
エスカネルはやや粗いワン・ツー主体だが、パワーを感じさせる選手。地力的には現在の地位通り、典型的な東南アジア系国内王者のそれ。実力で地位を勝ち獲った日本人ランカーなら、KOはともかく無難に勝利を収める事が出来るだろう。所属選手の戦績とランキングを守るのに汲々としている腑抜けたジムには敬遠されるような選手だが、ある意味8回戦選手の実力査定には最適の相手でもある。