駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第7試合・Sフライ級8回戦/○橋詰知明[井岡](6R0分45秒TKO)内海俊忠[姫路木下]●

橋詰は10勝(4KO)2敗2分の戦績。アマ時代に国体少年の部近畿予選優勝を果した直後、17歳でプロ転向。デビュー戦でいきなりB級選手相手にドローに持ち込むなど才能の片鱗を窺わせ、06年度新人王戦でバンタム級西日本新人王となる。だが西軍代表戦では、林孝亮[緑・引退]と僅差のスプリットデシジョンで敗れ後楽園進出はならず。07年に入って4月に敵地遠征でドロー、7月には松元雄大[Gツダ]に敗れるなどスランプが続いたが、同年10月から今年6月にかけてA級で4連勝中。前回の試合では5RKOで完勝。キャリアを積むにつれて逞しさが出て来た。
内海は9勝(7KO)2敗2分の戦績。99年末にデビュー、00年と01年の新人王戦にフライ級でエントリーするも、いずれも予選で各年の西日本王者(村井勇希&大西健市)に判定で敗退。だが03年の再起後は6回戦で連勝し、一度敗れた大西に8Rドローと健闘して地力の確かさをアピールする。04年2月に6回戦で1RTKO勝ちを挙げたのを最後に生業の都合で一旦現役を退くが、07年10月に山本幸史朗[ウォズ]を2RTKOに沈めて再起。08年2月には初回KO勝ちで更に評価を上げたが、前回7月には難波拓人[明石]のアウトボクシングに苦しんだ上、アクシデントによる負傷ドローに甘んじた。今回もスピード型が相手だけに、試金石的な一戦となるだろう。
1R。内海が小さくジャブ中心に先手。主導権を掴み、橋詰のジャブはキッチリ捌いて攻めのリズムを作らせない。橋詰もラウンド後半になって数発ヒットを奪って巻き返すが、決め手に欠けて互角まで。
2R。橋詰は伸びのあるジャブで先制し主導権奪取。内海の攻勢を際どくボディワークで捌いては、返す刀でショートカウンターを決める。内海もフックを1発豪快に決めたが、これもクリーンヒットならず。
3R。橋詰がスピード優位を活かす展開。内海の大振りをことごとく捌きながら隙を見てカウンター。内海はガード主体のスタイルで、後手に回りがち。ラウンド終盤になって漸くラッシュに出たが、これもクリンチに逃げられて戦果無し。
4R。内海の強烈な圧力攻勢に対し、橋詰はモーションの小さいジャブ連打で凌いでゆく。しかし内海もラウンド中盤からは左ボディなどの明確なヒットを決め、更には攻勢点もアピールして採点上互角に持っていく。
5R。内海の圧力が衰えない。これは攻勢点で有利に働きそう。橋詰はジャブ、アッパーで捌いて互角以上の形勢をキープする。ラウンド終盤には内海の右がクリーンヒットするが、橋詰は怯まず打ち返して形勢を傾けさせない。
6R。開始ゴング直後、橋詰がいきなり飛び込みざまの右ストレートでこの試合2度目のノックダウン。内海は立って奮戦続けるが、橋詰の連打を更に浴びた所でレフェリーストップ。
橋詰は伸びのあるジャブと柔軟なボディワークを駆使して主導権を確保。4Rからは圧力をかけられて後手を踏むシーンもあったが、6Rのオープニングヒットでダウンを奪えたのが効いた。漸く身体能力とファイトスタイルのバランスが良くなってきた。
内海はガードを固めるスタイルで一撃必殺を狙うもスピード不足。ディフェンスに手間取って後手に回る悪癖が解消されず、今日も最悪の相性に潰されてしまった。5Rにはチャンスもあったが、活かしきれず。スピードスターにハードパンチで対抗するには、数少ないチャンスに一発で決めなければ難しい。