駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第6試合・フェザー級8回戦/●松村勝[ウォズ](判定0−3)熊谷謙志[とよはし櫻]○

ここからはA級の試合。両者戦績は松村7勝(3KO)3敗、熊谷8勝(2KO)1敗2分。
松村はこれが初めての8回戦だが、A級緒戦は6月のタイ遠征での世界2位・ナパーポン戦だった(6回戦・5RTKO)。桁違いの強豪と対戦した経験をここで活かせるか。
対する熊谷は04年に中日本地区のフェザー級新人王になっている。地区対抗戦で敗退し、後楽園までは進出出来なかったが、その後は6回戦を3連勝してA級昇格するなど地力の確かさをアピールしている。今回は6月に東京遠征で敗れて以来の再起戦。
1R。中間距離でのワン・ツー合戦。熊谷はそれに上下へのフックを交えてヒット数でリードし主導権も掌握。松村もワン・ツー、フックでヒットを奪うが、今日は動きにキレなくパンチも軽く見える。
2R。このラウンドもワン・ツー主体の打ち合い。松村が前、前へ出てヒットも重ねるが、熊谷は狙い撃ち気味にヒットを重ね、ラウンド終盤に右ストレート有効打からラッシュに出て攻勢をアピール。
3R。松村はこのラウンドも前進して強引に主導権。ワン・ツー主体に手数を稼いで右フック、左ストレートで有効打。熊谷も左ボディ→右ストレートで反撃するが、このラウンドは守勢気味。
4R。熊谷はやや圧力を増してボディ中心に手数集める。松村もラウンド中盤からは逆襲するが、こちらの攻めは不発気味。終盤には熊谷の右ストレートがクリーンヒットとなって、これがこのラウンドのハイライトシーンに。
5R。松村が再びプレスを掛けるが、熊谷はこれを捌いてジャブからショートアッパー、ストレートでヒット重ねてゆく。ただし熊谷の攻撃も決定打に欠け、大差は開かない。松村も手数絶やさず細かいヒットも奪って、劣勢は最小限度に押さえ込んだ。
6R。共に決定打を欠く展開。松村は圧し気味だがヒットと手数に乏しく“アグレッシブ”の要素を満たし切れない。熊谷は後退を強いられながらもラウンド終盤にヒット数を稼いでいった。ジャッジ的には微妙。
7R。熊谷が手数を交えた圧力で主導権。ジャブ、ワン・ツー、ショートアッパーで細かくヒットを重ねてゆく。松村もプレスを掛けたいが手数が伴わずハネ返される。ヒットも左ストレート1発のみで劣勢否めず。
8R。熊谷が細かいコンビネーションで上下にヒットを量産。強烈な加撃は見られないが、数的優勢を磐石とする。松村も散発的にストレート、ボディブローで抵抗するも及ばず。
公式判定は半田80-73、藤田79-74、宮崎78-74で熊谷。駒木の採点は「A」79-73「B」79-74で熊谷優勢。実力差が明確だったとはいえ、公平な(公平過ぎる?)採点だった。
熊谷は決め手に欠けるファイトながら、A級8回戦相応のバックボーンを感じさせる試合運び。多くの時間帯で主導権を確保し、ヒット数でも優勢をキープした。ただ、クリーンヒットを決めた後の畳み掛けが弱く、その辺りにKO率の低さの理由があるのだろう。
松村は動きにキレを感じられず、パンチ力も感じなかった。スランプか、それとも調整失敗か? 理由はどうあれ、今日のパフォーマンスでは8回戦で通用するのは難しそう。